税に関する作文「じいじの介護から学んだこと」全文
国税局長官賞
東京都納税貯蓄組合総連合会長賞
中学1年 小野瀬 萌香 さんの作文全文を掲載します。
「じいじの介護から学んだこと」
大妻中野中学校 1年 小野瀬 萌香
平成八年三月、じいじにとって初孫となる私が誕生しました。待望の女の子ということで、それは、それは、大喜びしてくれたそうです。笑顔のじいじに抱かれている写真や、私と一緒に遊んでくれているビデオは、私の宝物です。そんなじいじが、脳梗塞で倒れたのは、平成九年九月、私が一歳の時です。右半身麻痺と失語症で介護が必要になってしまいました。平成十二年からスタートした介護保険制度は、当時、もちろんありませんでしたから、介護は、ばあばが一人で背負うことになってしまいました。通院、リハビリ、食事、入浴、じいじの身体を元に戻そうと、全力投球でばあばは、介護を頑張ったそうです。母も協力したそうですが、ばあばの頑張りはじいじの為に、自分を犠牲にして周りが心配するほどだったそうです。
三年後、介護保険制度がスタートすると、じいじは、要介護認定区分の中で、最も介護が必要とされる、要介護5と認定されました。今まで、ばあばが一人で抱え込んでいた介護を、介護の専門家や福祉担当の方に相談し、訪問介護を利用することになりました。訪問入浴介護、訪問リハビリテーション、訪問看護、福祉用具貸与、専門家の介護技術は素晴らしく、じいじは、一週間に二回、大きな浴槽で安心して入浴できる日を楽しみに待つようになり、ばあばも、たくさんの人の力と、手助けを借り、介護がずっと楽になり、笑顔が増えました。
ありがとうの感謝の気持ちでいっぱいの介護サービスですが、利用者負担は、サービス費用の一割ということです。残りの九割は、税金である社会保障制度で、まかなわれます。
これらのサービスを自費で、ということになると、経済力がある人だけが、介護サービスを利用できる、ということになってしまいます。介護は、お金ではなく、愛情であってほしいと思います。病気や障害のために働くことが出来無い人も、平等に、安心して、医療や福祉を受けられる制度であってほしいと思います。その為にも、今、問題となっている税金の無駄遣い、納税の義務、少子・高齢化社会など、私達一人一人が、無関心でいることなく、問題の解決策を考えていかなければいけないと思います。家族という小さな社会の中にもそれぞれ自分が担うべき役割があるように、日本、世界という大きな社会の中でも、私にも出来る役割を担っていきたいと、強く心に思っています。
じいじの介護から、私は大切なことをたくさん学んで成長してきたと思います。中学生になった今、大人が考えることだと思っていた税金のことまでも、考えることが出来るようになりました。じいじやばあばの笑顔が、ずっと続くように、私もその笑顔をずっと支えられるように、税に関心を持ち、社会に目を向けていきたいと考えています。
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