妻中便り

東大・医科学研究所_上昌広先生の講演会

平成25年度第2回目の保護者セミナーとして(本校の父母後援会が主催しています)、2月22日(土)の午後、東京大学医科学研究所特任教授、上 昌広先生をお招きして、講演会を実施いたしました。本校生徒の保護者、そして医学を志す本校の生徒たちが、一言も聞き漏らすまいと熱心に聞き入っていました。

 

上先生は、医学博士として虎の門病院、国立がんセンターにて臨床研究に従事され、また、2005年より、東京大学医科学研究所にて先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰され、医療と社会のかかわりを研究されております。医師として医療にかかわることはもちろん、現代の社会において、医療はどうあるべきかについて研究、幅広く活動され、日本社会の医療行政、医師養成のシステムなどについても、さまざまに提言されていらっしゃいます。

 

今回の本校の講演では、東大の上先生の研究室が行っている積極的な活動、特に震災後の福島での活動 - 医療だけでなく行政、教育の分野でも幅広く、継続的に行っている活動 - を通して、医学生はもちろん医療を志す若者は、現場でさまざまな人とかかわりながら、自己を磨いていくことが必要であることを教えていただきました。困難を乗り越え、新しい社会を切り開いていくのは、人と人のネットワークによる行動であるという指針を掲げ、医学教育のみならず、高等学校でも積極的に教育サポートも行っていらっしゃる上先生です。

 

日本の社会が抱える構造的な危機、超高齢化社会、極端な医師不足、医療の偏在などの社会問題に対して、それを冷静に捉え、解決していくためには、高い志と柔軟で幅広い視野と忍耐強さ、粘り強さを持つ若者の育成、教育が何より不可欠であること。そして、医師や医療にかかわる人はもちろん、どのような分野でも、これからの若者は、さまざまな文化、価値観に出会い、理解し、それを吸収し、さらに新しい文化を作っていくことが必要であると。 そのためにはまず行動すること。日本全国、そして世界中に出かけていくこと。そこで人と出会うこと。「人との出会いこそが、人を作る」ことを切々と説く先生に、特に本校の生徒たちは、目を輝かせてうなずいていました。

 

また、今後、数十年間にわたる日本の医療の状況、特に医師の不足と偏在状況などを客観的な数字を示しながらのお話。これについては特に、保護者の方が、これからの医療機関とのかかわり方、また介護の問題への対応、医療行政の今後の行方について、それぞれは自律的に考え、行動していくことの背景的となる知識と指針を得ることができました。

 

「それ学は、人の人たる所以を学ぶ」(吉田松陰)。 保護者と生徒が、上先生からの講演の場で、この言葉を共有できたこと。これ以上ない教育の場がそこに現前したと強く感じました。 

 

講演いただいた上昌広先生、東京大学医科学研究所の皆様、本校保護者の皆様、そして生徒の皆さんに、改めて感謝申し上げます。

 

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