妻中便り

「いじめ」調停に挑戦(弁護士と「いじめ」を学ぶ授業)

グチャグチャにこんがらがって、ほどく方法が見えないくらい絡まった糸。

激しく炎を上げて燃え広がり、近寄るのもためらわれるような大火事。

呆然と眺めていても、事態はまったく改善しないばかりか、下手に手を出すと

ますます良くない方向に行ってしまいそう…。

 

きっかけは本当にささいなことだったかもしれない「いじめ」。

でも、それがエスカレートすると、当人の心が負う傷も痛みも、周囲に及ぼす

影響も、考えられないほど大きくなるかもしれないのです。

もし、自分たちだけで解決できそうにない事態にまで陥ってしまったら…。

中学生の道徳、定期的に弁護士の先生がたをお招きして実施する「いじめ」を

学ぶ授業。今日は中学3年生を対象に、「いじめ」を扱う模擬調停にチャレンジ

しました。

 

弁護士の先生がたが準備してくださった「設定」は、現実に起きてもおかしくない

ような、リアリティに富むものです。

ちょっとした勘違いを発端に、みるみる事態が深刻化…心に傷を負った被害者

ばかりでなく、加害者側も甚大なダメージを負ってしまい、スッキリ解決させること

なんて出来るの?と、ついのめり込んでしまいます。

(実際に弁護士の先生がたが事前シミュレーションなさった際にも、大揉めに揉め、

 大変なことになってしまったとのこと。リアルそのものです。)

 

被害者・加害者・弁護士・調停員など役割分担されたメンバーが壇上に並び、さあ

調停スタート!片方の弁護士役が真に迫る口調で激しく主張をまくし立てる一方、

受け手の弁護士はやや優しい感じ…。これは片方が有利な状況で調停成立か?と

思われましたが、結果は不成立。訴訟に持ち込まれることになりました。

 

「今回は“模擬”だから出来そうに感じるけれど、同じ状況にもし陥ったら、私はきっと

こんな風に話せないと思う。」

「まず、ここまで事態を悪化させないことが大切。いじめ自体をなくさないと。」

成り行きを見守っていた同級生の感想コメントも、現実味があった分、リアルです。

 

何よりも大切なのは、まず、「いじめ」を生まない空気。

キチンと向き合う心。行動する勇気。

糸がどうしようもなく絡まってしまうその前に、炎が消せないくらい燃え上がるその前、

調停、裁判という言葉が出てくるその前に、必要なことがある。

実際に目で見て、耳で聴いて、肌で感じてわかる「いじめ」の重さ。

ここで終わっていい学びではありません。

折にふれて、何度も学び直し見つめ直す、その姿勢こそ、「いじめ」のない空気を

生み出すことが出来るのですから。

 

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