「魔法」はない。でも、「方法」ならある。(海外帰国生保護者会)
「他の人と同じ」であることが安心につながる一方で、「他の人と違う」ことに対して強い憧れや欲求を
抱いてもいる、という矛盾と私たちは意識無意識的に直面しています。
同じであるなら、それはそのまま安心。
でも、少しでも違っているなら、それは出来ればメリットになっていて欲しい、いや、どうか、より大きな
メリットでありますように!そう願わずにはいられないのです。
子どもの時期を海外で過ごすこと。
その選択は子ども本人の意志と離れたところで行われるケースがほぼ100%でしょう。
けれど、これも何かの縁。
そういう「違い」を経験することになったのだから、ぜひ海外生活の経験を、身につけた言語スキルを、
得がたいメリットとして活かして欲しい!
お子さまと海外の生活をご経験なさった保護者の方ならば、みなさん似たようなお気持ちを抱いて
いらっしゃるのではないでしょうか。
大妻中野が海外帰国生の受け入れを開始して、もう15年を数えようとしています。
得がたいメリットになるはずの海外経験なのに、言語スキルなのに、わが子にとってはそれが
悩み苦しみのタネになっているのでは?
海外で得た多くのものと引き換えに、日本で得るべきだった何かを失っているのでは?
…もしかして、こんなことで悩み苦しんでいるのは、自分たちだけなのでは???
たくさんの海外帰国生が同じような悩みを抱え、しかもそれを人に言えないまま悶々としている
現実を知り得て、大妻中野では定期的に「帰国生保護者会」を開催するようになりました。
ご自身も帰国子女、もう成人なさったお子さまも帰国子女、そしてご研究の専門分野は
「第2言語忘却」という本校アドバイザーの大妻女子大学・服部孝彦教授。
そして、同じくお子さまを帰国子女としてお育てになってご経験があり、現在は教育カウンセラー
としてご活躍なさっている小木曽道子先生。お二人のお話を交えながら海外帰国生のご家族が
気持ちを共有しあう貴重な場です。
「違い」がそのままメリットに昇華する魔法なんて、おそらくありません。
でも、「違い」をメリットに変えていく方法なら、見つけることが出来るのです。
他の人にも、同じ悩みがあったのだ、と知る安心。わが家はわが家なりの方法でゆっくりやれば
いいんだ、と実感してわいてくる自信。
会が終わると、始まった瞬間とは顔つきがまったく変わってしまう方がいらっしゃいます。
でも、この保護者会は決して「魔法」ではありません。
妻中で育つ毎日をよりよくするための「方法」。あくまでもそのひとつなのです。