妻中便り

多様性を受け入れ、活かし合う力 – 大妻中野の探究授業 From Diversity to Inclusion

多様性を受け入れ、活かし合う力を育てる -大妻中野の新しい探究授業 – From Diversity to Inclusion

多様性を大切にし、一人一人の違いを認め合い、活かし合う力を育てるための探究授業、それをすべて英語で行うこと。大妻中野が今、取り組んでいる新しい探究学習のモデル授業が10月23日(土)に行われました。

この特別授業は、本校のグローバル教育、帰国生教育、アクティブ・ラーニングや探究授業のアドバイザーとして、長年、指導をいただいている大妻女子大学・大学院教授の服部孝彦先生と本校の先進的な探究学習のモデルとなっているフロンティア・プロジェクト・チームが協働で行ったものです。

Intercultural Diversity and Inclusion Workshop ~異文化間能力育成ワークショップ~というテーマで、本校の中学2年生から高校2年生までの学年が異なる授業集団に本校の卒業生グローバル・チューター(早稲田大学や東京理科大学の学生)も加わった多様性豊かな中学生、高校生、大学生が一体となった授業を、服部先生のファシリティトのもとで実施しました。

生徒・学生たちは、多様性・包括性に関する2つのショートストーリーを英語で読み、その内容について、それぞれが思うことをグループ内で英語でディスカッションしていきます。そして、グループで話し合われた内容をグループの代表が英語でお互いに発表しあう形で進んでいきます。さらに、お互いがこのストーリーから学んだことを共有し、それが多様性・包括性の重要性への気づきに繋がっていきます。同時に、自分自身の意識、振る舞いへの内省が深まっていきました。

授業者の服部孝彦先生の言葉です。

「 通信技術の急激な発展に伴いグローバル化がますます顕著になり、異文化間能力に関しては、ヨーロッパや北米を中心に、盛んに学術的議論が行われてきました。異文化間能力は、ことばや考え方などの文化が異なる多様な人々と協働して生きていくために必要な能力です。ここで言う文化とは、ことば、価値観、宗教、考え方、などを広く含むものであり,これらの文化的要素が異なる相手は必ずしも国境を挟んだところに存在するとは限りません。性別、世代、身体的特徴などが異なる相手は自分の身の周り、あらゆるところに存在します。つまり、異文化間能力は外国の人との交流にのみ必要なものではなく、自分と何らかの点で異なる相手とのつきあいに必要な力といえます。本ワークショップでは、文化を国や民族で区切るのではなく、自分とは違う他者をいかに理解・受容し、柔軟に対処できるかという能力の育成を、アクティブ・ラーニングの1つである探究学習を通しての実践です。なお、この授業はすべて英語で行いました。」

* この特別授業後を受講した生徒の振り返りを紹介します。

高校2年生の参加生徒:

今日のクラスで、改めて“多様性”とは一体何かという問いとその重要性を感じることができました。 同じ日本人で学校にいると、表面的には多様でないと思い込むことがあるかも知れませんが、一人一人の持つ個性こそが多様性なのだと再度、実感しました。この2つのストーリーでも、外見だけで判断してしまっていることが多く、実際の中身に目を向けない人が多いと思います。今後の社会全体のglobalizationのためにも、外見でなく中身に目を向けて、それらの真の特徴を理解し、尊重することが大事であると思いました。今日の授業を受けて、多様性についてdiscussion できたことをとても光栄に思います。

中学2年生の参加生徒:

国が違えば、文化や考え方が異なるのはもちろんですが、たとえ、同じ国の人だとしても人と人はそれぞれ違うため、多様性を理解し、受け入れていくというのは、これからの人生でとても重要なことだと感じました。自分の考えを強要しない、相手に共感していくことが、相手にとっても、自分にとってもためになることであり、共に生きていくうえで必要だと思いました。

大学2年生の参加学生(本校卒業生・グローバルチューター):

今回のワークショップでは、改めて、多様性や異文化理解の重要性を考えさせられました。大学に進学して、同じ日本人でも様々な価値観があるということをよく感じます。自分と考えが違っても、その人の立場から物事を考える open-mindednessを常に持てるように心がけようと思いました。また、OGとして今日のディスカッションに参加して、英語のレベルが異なるチームメンバーを上手にまとめることの難しさも感じました。今後、このような機会があれば、今回の経験を活かして、もう少しスムーズにディスカッションを進めたいと思います。今日は、ありがとうございました。

大学4年生の参加学生(本校卒業生・グローバルチューター)

現代社会では、こうしたことを考えても実行できない人が多いので、多様性を活かす次の段階として、異文化理解・受容能力をどう行動に活かすかを考えることが重要だと考えました。

 

海外子女教育振興財団 「渡航前配偶者講座」講師 小木曽 道子 先生

中学2年生から大学4年生まで、生徒・学生たちが先輩・後輩の隔てなく意見交換をしたり、また、英語があまり得意でない生徒でも自分の意見をしっかり日本語で話しているのを見て、自分自身の考えを持ったうえで、さらに英語での表現を助けてもらうような学び合いが行われており、(また発表するにあたって、その助けをグループ全体でサポートしていました!)まさにアクティブ・ラーニングが機能している教育現場を見せて頂きました。日頃から担当されている先生たちの努力が生徒達にいろいろな気づきを与えていると感じました。この場で学んでいる生徒たちは有形、無形の宝物を身に着けていっていると思いました。

海外子女教育振興財団 教育相談室長  植野 美穂 先生

フロンティア・プロジェクト・チーム対象の特別授業を参観させていただきまして誠にありがとうございました。生徒の皆さんが、DiversityとInclusion  に関するテーマについて自分事に受け止めて考えている様子を拝見し、貴校のグローバル教育に対する真摯な姿勢を垣間見ることができました。大妻中野中学校・高等学校の生徒の皆様の今後の活躍と貴校のさらなる発展を祈念しております。

最後に本校のこのフロンティア・プロジェクト・チームを担当する顧問教員からの振り返りコメントを紹介して、結びとします。

「 自分とは異なる他者を理解・受容する 」をテーマにしたモデル授業を実施するにあたり、服部先生は授業の意義や目的などを丁寧に説明して下さいました。探究学習に必要な要素として、

① Values ー 自分とは異なる他者を尊重し価値を認め合う

② Attitude - 異文化に心を開き交流する態度

③ Knowledges ー 地域から世界につながる課題について学び知識を得る

④ Skills ー 持続可能な平和社会の実現のために行動する力

のうち、日本の教科学習で抜け落ちがちな①②に特化したモデル授業を服部先生にして頂き、教員として多くの気づきがありました。英語による授業でしたが、グループの中で英語が得意な生徒とそうでない生徒を協力させながら、服部先生は生徒達の意見を上手く引き出して下さり、参加した生徒一人ひとりが達成感を得た様子でした。今後の本校の取り組みやフロンティア授業でも、服部先生からのアドバイスを活かして大妻中野らしい探究学習のあり方を模索していきたいと思います。

大妻中野のグローバル教育、英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ教育、地球市民教育、探究教育、価値教育など、すべての先進的な取り組みが凝縮したモデル授業となりました。これから入学する皆さんもぜひ、本校のこうした学びに積極的に参加して、「中野から世界へ」羽ばたいてほしいと願っています。

 

 

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