第2回大妻中野 x 難民映画祭 with 国連UNHCR を開催しました
フロンティア・プロジェクト・チーム_第2回大妻中野 x 難民映画祭 with 国連 UNHCRを開催!
フロンティア・プロジェクト・チームでは、国連UNHCR協会主催 - WILL 2 LIVE Cinema Partners - (旧・難民映画祭学校パートナーズ)に参加し、2021年12月21日に「大妻中野×難民映画祭」を開催しました。上映会前にはフロンティア生徒による「活動紹介と難民問題に関するプレゼンテーション」を行ない、【知る】-【自分の意見を持つ】-【発信する】の3ステップを意識して映画を観てほしいというメッセージを伝えました。上映会後には、一般参加生徒も含めた全員でグループ分けを行ない、感想の共有と“いまの自分たちにできること”について意見交換と発表を実施しました。
開会式では2019年度から様々な形でご支援いただいている、国連UNHCR協会の天沼さまよりご挨拶をいただきました。 本校のこのHPを通して、一人でも多くの人にこの会の趣旨と難民問題への解決向けて、「知る」ことを共有できればと思います。また、参加した生徒たちの感想ぜひお読みいただき、この取り組みに関心を持ってもらえれば幸いです。
第2回「大妻中野×難民映画祭」開会に寄せて - 国連UNHCR協会 天沼 耕平 様
皆様、この度は素晴らしい映画上映会を開催いただけますこと、深く御礼申し上げます。
これまでも大妻中野の皆様は、難民に関する映画の上映会だけでなく、さまざまな先進的な活動を行われてきました。特に印象深いのは、2020年初頭にケニアのカクマ難民キャンプの学校に、あたたかいメッセージと千羽鶴を届けていただいたことです。皆さんのお気持ちが海を越え、様々な違いを超え共鳴し合い、同じ理想の未来を描いたように感じました。
さて、2020年末の時点で、戦争や迫害で故郷を追われた人々は8240万人以上に及びました。そして、2021年に入っても人道的な危機は拡大しております。ミャンマーやアフガニスタンの混乱をニュース等で目にすることも多かったと思いますし、今でもその危機は一人ひとりの命と人権を脅かしています。もちろんこの2か国以外にも厳しい状況に陥っている地域は数多くあり、人道的な支援と解決が急がれます。このような課題に対して、残念ながら日本国内の意識は決して高いとは言えないかもしれません。海の向こうの出来事となり、自分ごととしてとらえることが難しいのだと思います。もしも自分が難民になったら、家族や大事な人が命の危機にさらされたらと考えたら、今起きていることを決して他人事にはできないはずです。
この上映会は、「WILL2LIVE Cinema Partners」の一環として実施していただいております。このWILL2LIVEは、難民となった人々の生き抜くチカラを発信し、日本中に共感と支援の輪を広げることを目指しています。そして、まさに「ナディアの誓い ― On Her Shoulders」の主人公ナディアは類稀なる生き抜く意志を持った人物です。この方の半生は、筆舌に尽くしがたい厳しさがあります。ぜひ映画本編でしっかりとその生き抜く力を目に焼き付けていただきたいのですが、ここで、一つ伝えたいことがあります。これは、私が尊敬してやまない人物の受け売りでもあるのですが、邦題の副題となっている「― On Her Shoulders」、これを「On Our Shoulders」と考えてほしい。いつまでも彼女に背負わせるのではなく、私たちのアクションによってその重荷を分かち合い、世界を変えていかねばならないのだと、強く思います。
「観る、という支援。」これは一つのキーワードです。そしてそれをきっかけとして、みなさんがさらなるアクションを起こし、世界を変えていくことに期待しています。みなさんの可能性は無限大です。今日を一つのきっかけとして、ともに世界をより良い方向へ変えていきましょう。今後ともよろしくお願い致します。
この第2回「大妻中野×難民映画祭」に取り組んだ本校生徒の振り返りを紹介します。
高校2年生 A. M.
難民映画祭は、「観る支援」を通して難民の現状や背景などをよりたくさんの人に知っていただく取り組みです。大妻中野では2019年に第1回を開催し、今年無事に第2回目の難民映画祭を開催することができました。今年放映した「ナディアの誓い-On Her Shoulders」は、主人公のナディア・ムラドさんがご自身の経験をジャーナリストや政治家、外交官などたくさんの人に辛抱強く訴える様子に密着したドキュメンタリー映画です。
私は、国連UNHCR協会の天沼さんの「私たちは、On Her Shoulders ではなく、Our Shouldersにしなければならない」という言葉を聞き、上映後に強くそう思いました。私は4年間フロンティアに所属し、様々な形で難民のことを学んできたつもりでしたが、あくまでそれは「つもり」であることを実感しました。想像以上に壮絶なナディアさんの人生や葛藤など、観るのが辛くなる場面もありましたが、言葉だけでは伝わりづらい難民の状況を、自分事として捉えさせてくれました。私は高校2年生なのでフロンティアとしての活動は残り数か月ですが、これからも難民映画祭を継続させてほしいです。
高校1年生 S.K.
2018年にノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドさんに密着したドキュメンタリーであるこの「ナディアの誓い-On Her Shoulders」を観て、ナディアさんが語るイスラム国の虐殺の残酷さは聞いているだけでも目を背けてしまいそうになった。故郷のためにイスラム国からの被害を世界に向けて訴えるナディアさんは強い女性だと思った。ナディアさんは彼女自身が受けた残酷な惨事を決して忘れず様々な葛藤を抱きながら世界に発信し、戦い続けているからだ。私は映画内でナディアさんが「移民受け入れには時間がかかる」と先進国の政府関係者から国の内情を聞いていた場面が印象に残っている。経済的にも民族的にも豊かな国であればあるほど支援が必要な国に対して耳を傾けて援助する余裕がある。それと同時に社会制度が複雑になり実際に政策を実行することに対して時間が必要となる。そのため社会の制度自体を早急に変えることは難しいのだと思う。
しかし、私たち一人一人が意識を変えることでナディアさんのような方を救うことができるのだと思うようになった。現に私たちフロンティアの生徒は映画を観て意識を変え、それぞれ「家族に伝える」「SNSで発信する」など、できることを真剣に考えることができた。学校という小さな集まりから地域という共同体、そして日本や世界につながることがきっとできると思う。私は今自分ができることとして、違う価値観を持った人や異文化の人とも自分の中に壁を作らず交流していきたいと思う。
中学2年生 K. O.
近年では世界中で約8240万人、約100人に1人が難民で、その数は年々増え続けており世界で注目が集まっています。ですが日本に住む私や皆さんはどうしてもそのリアルな現状に触れることが難しく、メディアの他に情報源がそう多くありません。難民映画祭は難民支援の輪を広げるための「観る」支援です。今回上映された映画を観て一番に感じたことは、いかに自分が無知であったかということです。以前の私はどこか同情のような感情を抱いていましたが、むしろ私の方がナディアさんにとても勇気づけられました。これは私がより自分事にとらえられるようになったことの表れだと感じています。そしてどれほど想像を絶する困難であったかを痛切に思い知らされました。私は難民認定率が圧倒的に低い日本には、こういった難民への理解を深める機会がより多く設けられるべきだと思っています。私もナディアさんのように強い意志をもってこういった機会に積極的に参加し、私自身も活動していきます。世界中が苦難に直面しうる今、難民の生き抜く意志とその姿こそ私たちに希望を与えてくれるのではないか、そう強く思いました。
「中野から世界へ」- 世界と繋がることを止めない。世界の課題を自分のこととして受け止め、考え、行動する。正解を自分で探して、世界に問う。「探究的な学び」とは「世界を自分の目で見て、聞いて、考えて」、「自身に問い、世界に訴えること」。大妻中野はそのためのプラットフォームです。