妻中便り

海外短期研修_カナダセミナー2023_レポート②

大妻中野の様々な海外プログラムの土台となっている中学2年生が参加するカナダセミナー。今年のカナダセミナーの様子をさらにレポートします。ユネスコスクールとして本校の取り組みの一環としても、このプログラムは作られています。

ユネスコ憲章の前文には、「相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。」と書かれています。

インターネットやSNSが発達した現在、「相互の風習と生活」を知る機会は数多くあるはずです。しかし、実際に異文化を知り、体験し、共感し、受容する学びの機会は、異文化の中で直接体感することに勝るものはありません。

アクティビティの中で訪れたブリティッシュコロンビア大学は約6万人の学生が世界から集まっており、人種・民族もさまざまです。また、キャンパスにはベビーカーに乗った子どもから、お年寄りまで幅広い年齢の方々が歩いています。大学といえば20代の若者しかいないイメージを持つかもしれませんが、多種多様な人々が集う場所が大学であり、そのような場所で生まれる新たな知見が相互の尊重につながることを無意識にも体感できたのではないでしょうか。また、この大学見学から、これまで机上で学んできた「多様性」ではなく、本当の多様性とは何なのだろうか、といった問いかけを自分自身にしていけるようになると嬉しいです。

本カナダセミナーには、英語でフランス語を学ぶFSLコースがあります。授業では先生から「文化とは何か」という問いかけがあり、生徒たちから多くの意見が出ました。食べ物や服装、歴史や言語など分かりやすいものだけでなく、文学やマンガ、ゲームなど様々な分野にも文化はあり、それぞれ異なるそれらを受け入れることが大切であると教えてくださいました。また、文化と文化がぶつかった時にも相手を尊敬する気持ちを持つことが重要であり、それが衝突を回避できる鍵となることを先生から生徒に伝え、今回のワークショップを締めくくってくださいました。まさに、相互の風習と生活を知り、受容することで異文化間の疑惑と不信を払拭し、自由で平和な世界を築くための礎を体感しながら学びました。異文化の風土に触れながら学んだこのカナダセミナーの経験は、きっと生徒のベースに刻み込まれ、社会的包摂を実現のために大きな力になってくれることでしょう。

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