第5回ユネスコスクール関東ブロック大会@玉川大学 – 国際紛争と向かい合う
大妻中野は、ユネスコスクール加盟校として、「建学の精神 『学芸を修めて人類のために』及び校訓『「恥を知れ』」に基づき、地球市民として、Society5.0における持続的なより良い社会の創造と自らの幸せを紡ぐことのできる人材の育成を目指します」というスクール・ミッションを掲げている学校です。
10月5日に玉川大学で開催された第5回ユネスコスクール関東ブロック大会で、本校生徒がフランス語チームのポスターセッション、分科会では「国際対立の解決に向けたユネスコスクール・ユースの探究ワークショップ」 というテーマで、国際紛争に関して、大学生、都立高校の生徒とともに議論しました。
この経験は、参加した生徒に、大きな自信と新しい視点を与えてくれた素晴らしい経験になりました。 この第5回ユネスコスクール関東ブロック大会を振り返ります。
主催の玉川大学教育学部教授 小林亮先生から
第5回ユネスコスクール関東ブロック大会」では、大妻中野中学校・高等学校から、多数の生徒のみなさんに参加いただき、分科会およびポスター発表にて大きな成果を上げ、本大会の成功にひとかたならぬ貢献をして下さいましたことにあらためて厚く御礼申し上げます。
第5分科会に関する参加生徒の皆さんの振り返りは、非常に興味深く、また嬉しいものでした。貴校の生徒の振り返りから、「異文化学習」と「葛藤解決」に焦点を当てながらウクライナ危機をテーマにした高大連携の分科会が決して「的外れ」ではなかったことが実感できましたので、とても嬉しく、心強く感じた次第です。
貴校の生徒のみなさんの興味深いポスター発表と分科会での創意ある議論に本学の学生たちは、大きな刺激を頂きました。高大連携そして学校間共修はユネスコスクール・ネットワークならではの試みだと思いますが、今回の分科会での共同討議を見て、この学校間共修のチャレンジが、ユネスコの提唱する「変容」的な意味で確実な成果を上げてきているのを実感することができました。
貴校とは同じ首都圏に位置するユネスコスクール加盟校同士として、今後もさまざまなコラボレーションを展開させて頂けたら幸甚です。今回の大会へのご尽力に深く感謝申し上げると同時に、今後の学校間協同活動に向けて引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
本校高校1年生の振り返りから
私は、この第5回ユネスコスクール関東ブロック大会を通して学んだことが主に2つあります。1つ目は、『先入観にとらわれないということ』です。 今回の論点はウクライナとロシアの戦争についてでした。 その中で私はロシア側の立場に立ちました。日々ニュースを見ていると、ロシアの全体が悪いというように見え、ロシアという国=戦争を仕掛けた悪い国というイメージがついてしまっていましたが、ディスカッションを通してロシアの一カ国全体の国民が戦争を望んでいるわけではないということに気づきました。 ロシアとウクライナの戦争が本格的に始まったのは2年前なので、今年2歳になる子供たちは始まった時には生まれてなかった子供たちもいると思います。 国のトップが勝手に始めた戦争を、ロシアという国全体が悪いとして見るのではなく、全員が全員戦争を望んでいるわけではないということを再確認する必要があると思いました。
さらにもう一つの学びとして、二つ目は、さまざまな視点から物事を見ることの大切さということです。プログラムの中で三つの立場のグループが一つに集まって、議論するという場面がありました。 お互いが自分の意見を発表する際、自分たちの国が思っていたことと異なるような政策を出されて、新しい視点から考えることができました。国連の方々がウクライナとロシアの関係をもとの関係に戻せるように条約を提示してくださいました。 ロシア側もここまでなら妥協することができるかも、ウクライナ側もここまでなら妥協することができるなど、さまざまな視点から考えることができてとても興味深かったです。
私がこの大会での活動を通して、受け身になるのではなくもっと能動的に考えられる高校生になりたいと思いました。いままではこれらのニュースを聞いて、「こんなことがおこっているんだ。」で終わってしまっていました。 日本は唯一の被爆国なので、その悲惨な経験を2度と起こさないように広めていくのが、今の私たちにつないでくださった過去の方々への恩返しにつながると思います。2度と日本と同じような思いをする国が出ないように、高校生の私たちが戦争を起こしたいと思っているようには感じられないウクライナの高校生とロシアの高校生でタッグを組み、 10年後、20年後には良い関係が築けるように今の状況を変えていけるような行動力が大切だと思いました。今の戦争を止められるのは若い世代から動いていかないといけないということをより強く感じられました。
現在のこの状況を知り、それに向かっていく方策があることを知ることができたのは、このようなユネスコスクール関東ブロック大会を開催してくださった先生方、学生のみなさんの協力があってこそだと思います。このような機会を設けてくださってありがとうございました。今回の経験を通して、今後は、学校内外で平和についての話し合いの場を自分から作り、いろんな方々と議論し、共有していけるような企画を考えていきたいです。