妻中便り

「聞き書き甲子園」 へのチャレンジ – 日本中の名人から、森・川・海を学ぶ –

「聞き書き甲子園」 (農林水産省、環境省、文科省など主催) に本校高2生がチャレンジ!

「聞き書き甲子園」とは、農林水産省、文部科学省、環境省、公益社団法人国土緑化推進機構、NPO法人共存の森ネットワークが協働で主催するプログラムです。 全国から選ばれた74人の高校生が、森や海・川の「名人」 74人を訪ね、その知恵や技術、ものの考え方や人となりを「聞き書き」し、記録して、 先人の知恵を未来に継承していきます。 「名人」には、樵(きこり)や造林手、炭焼き、漁師や海女など、さまざまな職種があります。高校生は名人にインタビューをし、その録音した会話の一言一句を書き起こし、名人の語り口調を活かしながら作品をまとめます。 このプログラムに本校高校2年生のK.K.さんがチャレンジしました。そのレポートを紹介します。

私は「聞き書き甲子園」にチャレンジしました。 聞き書き甲子園は、高校生が日本の様々な地域で暮らす森・川・海の名人を訪ね、一対一で「聞き書き」するプログラムです。夏休みの3泊4日の研修を経て、名人に2回取材をしに行きます。取材の内容を全て録音しておき、それを一字一句書き起こします。名人の語り口調を活かしながら不要な部分を削除し、並びかえ、整理して、名人の一人語りの作品に仕上げます。そして、聞き書きを通じて学んだことを成果発表会で発表するというのがプログラムの一連の流れです。

チャレンジした動機は、伝統的な技術を繋いできた、歴史の一部といえる方々の声を生で聞きたいと思ったからです。また、普段の生活では関わることのない世界を見てみたいと思ったからです。

事前研修会では、聞き書きの心構えや手法を学びました。私と同じ富山県氷見市を担当する5人の高校生やGL(グループリーダーという聞き書き甲子園のOB・OG)、市町村担当者の方と一緒に、書き起こしや文章整理、編集などの実習を行いました。「聞き書きってなんだろう」から始まった研修でしたが、実習をしていくうちにコツをつかめるようになりました。また、全国から集まった多様なバックグラウンドを持つ73人の高校生と出会ったことで、たくさんの刺激を受けることができました。

私は富山県氷見市の和船船大工の方を取材しました。和船の道具の話からプライベートのことまで、幅広くお話を伺うことができました。和船をつくる過程だけでなく、使う木の種類を実際に見せながら説明してくださったり、製材所に連れて行ってくださったりしました。それにより、様々な角度から和船というものを捉えることができました。職人として技術を受け継いできただけではなく、誇りとこだわりを持って仕事をしている姿を見せていただきました。

聞き書き甲子園に参加したことで、物事を様々な角度で捉えることができるようになりました。海と森が大好きだという名人が、「自然が失われつつあるんや」と何度も口にしていたのが印象的で、環境破壊が進むと、伝統技術も失われてしまうかもしれないということに気づかされました。また、知らない土地に一人で行くという経験をしたことで、自分の行動力が高まったと思います。

富山県で唯一の和船船大工である方に取材したという経験は、本当に貴重なものだと思います。名人の仕事内容だけではなく、名人の生き様も記した作品は、民俗学において大事な資料になると考えています。この経験を無駄にせず、自分の目で見て感じたことを深掘りしていきたいと思います。これからは録音の書き起こしの段階に入るので、名人の人柄や語り口調を活かした作品を完成させられるように頑張ります。

 

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